2009年5月28日

雨の小屋ほか


 朝から雨。雨の山小屋も悪くない。静かだ。庭の木々はしっとり濡れて、その下でカエルが思い出したかのように一声鳴く。窓の外は、シャリンバイの白い花。僕は、小屋の長椅子に座って、コーヒーを飲みながら、CDを聞いている。流れているのは、Keith Jarrettの「STAIRCASE」。この曲を小屋のイメージソングだと、勝手に決めている。

 雨が小降りになったので、庭に出た。柿の木のところまでくると、突然、足元からメスのキジが飛び立った。すごく驚いた。彼女も相当に驚いたとみえて、悲鳴のような鳴き声を上げて、いったんは数メートル先まで飛んだが、また、地上に降りて僕を威嚇する。低いくぐもった声にシューシューというような荒い息づかいが混じっている。「ごめん、ごめん! 悪気が無かったのだから許してよ」といいながら後ずさりしても、僕についてきて離れない。卵でも抱いていたのだろうか。

 昨日の午後、近くに住んでいる陶芸家のIさんご夫婦が小屋に来た。一緒に軽いランチを食べた後、山道を歩いて、モミジイチゴとナワシロイチゴの実を摘んだ。モミジイチゴは、甘酸っぱくて美味しい。日本の木苺の中では、一番だと思う。それに、透明感のある黄色が実に美しい。今は、木苺の季節なのだ。

2009年5月27日

庭の草刈

「また、ご主人が草刈を始めたようだよ」
「あぁ~、怖い! 先日の草刈では、土手脇のミズキさんが、スッパリ切られたそうよ。冬を耐えて、やっと芽吹いたというのに可愛そうだったわ」
「そういえば、昨年はヤマザクラさんがザックリ深い傷を負わされて、それが元で台風のとき倒れたね。」
「早く、何事もなく終わって欲しいわ」
「まったくだね」

 庭の草刈をやった。十分に注意してエンジン草払機を操作しているつもりだけど、夢中になると、つい若木を切ったり、傷つけてしまう。庭の木々たちのこんな会話が聞こえてきそうだ。
 今日も犠牲者がでた。高さ1.5mくらいのアオギリを切り倒し、カエデの幹を傷つけてしまったのだ。樹木にとっては、僕は害虫と同じくらい恐ろしい存在に違いない。



2009年5月26日

マグノリアの仲間


 小屋に戻ったら、入口に植えてあるオオヤマレンゲが咲いていた。名前のとおり、蓮の花に似ている。まだ、木は2mにも満たないのに、つぼみを2つもつけている。大きな葉の影に、うつむいて咲くこの白い花にはどこか静かさが漂っている。庭のMagnolia属は、この他に、コブシ、シデコブシ、ホオノキがある。これらの仲間は、原始的な被子植物だという。そういわれてみれば、なんとなくアルカイックな雰囲気を感じるのは僕だけだろうか。

2009年5月22日

もう、ホタルが!

 夕食の後、気持ちよい風が吹いているので、近くの小川まで散歩した。シャツ1枚では、涼しすぎるくらいだ。ぼんやりと明るい空をバックに、周囲の山並みがシルエットとなって浮き上がっている。連休ごろに植えた稲は、まだ水面を覆うほどには育っていない。その田んぼに、谷の反対側の街頭の明かりが映っている。あの声はシュレーゲルだろうか?アマガエルだろうか?カエルの鳴き声がいたるところから聞こえてくる。
 驚いた! もう、ホタルが出ているのだ。ゲンジボタルだ!風が吹いているせいか、低く土手の内側を飛んでいるが、数匹以上が光っている。これから次第に数を増してゆくだろう。しばらくの間は夜の散歩が日課となりそうだ。

麦秋


 昨日の調査の後、風呂に入れなかったので、原チャリに乗って石岡の施設に行った。一面の大麦畑の中をスピードを上げて走り抜ける。青空に白い雲。風が身体を吹き抜けて行く。この爽快感を伝えるには、どうしたらいいのだろうか?   (写真をクリックしてください)

エゴの花


 今、エゴの花盛りである。朝起きたら、小屋の山道に白い花びらが一面に落ちていた。夕べからの強い風で散ったのだろう。見上げると、濃緑の葉をつけた枝から、白磁のようなエゴの花がびっしりと下がっている。その下に立つと、甘い香りとブーンという音に包まれる。蜂たちが夢中になって花から花へと飛び回っている。今の季節、雑木林の道を散歩すると、ここにも、ここにもと、エゴの木がたくさんあるのに気がつく。




2009年5月21日

筑波山の森へ


 約一年前と同じ午前7時15分に自宅を出てTXに乗った。ただし、方向は逆であるし、気分も正反対。服装も全く違って、ヘルメットにザックを背負って、登山靴の姿である。昨年に引き続いて、筑波山のブナの調査が始まったのだ。今日で2日目。初日に軽い捻挫をしてしまったので、今日の参加が危ぶまれたが、大丈夫そうだ。なにしろ、いま特別な許可をもらって仲間たちと調査している一帯は、滅多に人が入らない(入山禁止)ところなのだ。どんなにすごいブナがあるか? どんな植物を見つけられるか? 何と出会うか? 大げさに言うなら、今日を逃したら、これらと遭遇する機会は永遠に失われるかと思うと、少々疲れていたり足が痛いくらいで休む訳にはいかないのだ。
 今回も、仲間のTさん、Kさんと一緒に深い森の中を歩き回った(這いずり回った)。すると、やはり周囲長3メートル近くのブナや畏怖を感ずる巨大なアカガシの老樹などと何度も出会った。ここ筑波山の南面は筑波神社の聖地である。苔むした谷川の岩に鬱蒼とした暗い森、その中から突如現れる巨樹・・・・。確かに、この森には、なにかが宿っている。 − 写真はアカガシの巨木 / なにものかの座席のよう −

2009年5月15日

ホタルガの幼虫とウグイスカグラの実


 ホタルガの幼虫を「電車虫」と呼ぶのを、最近、知った。確かに、名前の由来となった黄色の蛍光色の車窓に赤い車輪は、おもちゃかアニメの電車のように見える。この虫は、毎年春になると、小屋につづく坂道の脇のサワフタギに発生して、新緑の葉をガツガツと食べる。大勢だと丸坊主にされて困るが、少しなら綺麗なので大目に見てやっている。(これって彼らの戦略なのかな?)
 成虫も、黒の羽に一本の太い白い線と赤い頭のアクセントが印象的な美しい蛾だ。自分でもその美しさを知っているとみえて、昼間の明るい時に飛ぶことが多い。

 そのサワフタギの隣には、ウグイスカグラの灌木が生えている。ふと目をやると、葉陰に、赤い実が一つ付いていた。この木は、春もごく浅い頃、ピンクの可憐な小さな花を咲かせる。そして、もう果実を付けているのだ。これも透明なルビーのようで実に可愛くて美しい。(写真をクリックすると大きくなります)



2009年5月11日

オオスズメバチ


 平安な僕の庭に、「日本で最も危険な野生生物」が現れた。オオスズメバチである。それも、数匹が小屋の入り口近くにあるアキニレの木の周りをぶんぶん飛んでいるのだ。この木の樹液が目当てらしい。近くを歩くたびに怖くてたまらない。何しろ、あの猛毒のハブや、マムシ、それに猛獣のクマなどより、このオオスズメバチに刺されて死亡する人の方が多いのだから。写真を写そうとして近づくが、どうしてもおよび腰の変な格好になってしまう。(したがって写真がブレていても、ご理解の程を。)
 このアキニレには、夏になるとカブトムシやクワガタ、コガネムシなどの昆虫が集まって、毎夜、盛大な酒盛りと場所取りの争いが繰り広げられる。この木は、樹液を多く分泌するのか、それとも特別に美味しいのか、あるいは、来客の皆さんは近くにいくらでもあるクヌギやコナラの味に飽きたので、関東地方ではやや珍しいアキニレのレストランに集まるのだろうか。
 もう、その季節がやってきたのだ。

2009年5月5日

雨も小降りになった

 今日は午後から雨降りなので、約10時間連続してホームページづくりした。FMからは、「吉田拓郎三昧」が流れている。だんだん形になってきた。 あぁ〜、疲れた! 
庭に出たら、いつの間にか雨も小降りになっていて、水の張られた田んぼからはカエルの大合唱が聞こえる。明日は、加波山に登る。晴れたらいいな〜。

2009年5月4日

笠間の陶炎祭


 今日は、何も予定が無い。そこで、隣の笠間で開かれている「第28回 陶炎祭」に行く事にした。会場は、「笠間芸術の森公園」である。近くに住んでいながら、初めてである。周囲を小高い丘陵に囲まれた広大な公園の広場に、約200人の作家たちがテントを張り、作品を展示している。中央付近のテントでは、少し風変わりな食べ物も出している。小さな子どもづれの家族、若い女性やカップル、中高年のグループ、犬を連れた人たち・・・。大勢の来客者が、そぞろ歩きながらテントからテントを覗いている。穏やかな天気の下、美しい森の緑に囲まれた公園で、だれもが平和で幸福そうである。
 僕の八郷からも、10人以上が出店しているそうだ。その内の3人を訪れた。みな、それぞれ個性的で素晴らしい作品を展示していた。普段は、他愛も無い話をしている彼らが、どんな魔法を使って、こんなに素敵な作品を生み出すのか少し不思議な感じがして、そして嬉しくなった。それに、どういう訳か、みな、普段会うときよりも、ずっと格好良く見えた。
 八郷や笠間は、風景が美しいだけではない。創作する人々の里でもあるのだ。
 

2009年5月1日

ハンモックを吊るす

今日から5月である。朝から暖かな陽気だし、爽やかな風が吹いているので、今年始めてハンモックを庭に吊るした。まだ、蚊やブヨなどの不快な虫がいないので、快適である。先ほどから、いやに顔の上をミツバチが飛び回ってうるさいと思ったら、ハンモックの下がハルジオンの花園なのだ。僕はとても気持ちよいのだが、蜂にとっては、えらく邪魔な存在なのだろう。