2010年10月31日

秋蛍


 先日、このブログに書いたクロマドボタルは、別名で「秋蛍」と呼ばれるらしい。なかなか、情緒ある名前である。今夜も、庭で幾匹もが光っていた。昨日からの台風の雨で地面が濡れて、彼らの餌となる陸生貝類がたくさんいるのだろう。光の点をたどって、ようやく一匹を捕まえたので、さっそく記念撮影した。明るい光の下で見ると、そのしゃれた別名とは、ほど遠いグロテスクな姿をしている。
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2010年10月28日

サラダ菜


 山小屋生活では食事に気を使っている。粗食でも、栄養バランスだけは、十分に考えたい。そこで、食べたいときに何時でもつまんでサラダにできるように、植木鉢に「ベビーサラダ・ミックス」の種を蒔いた。それから1ヶ月ぐらい過ぎて、いかにも美味しそうに育った。でも、野菜の葉が、あまりに奇麗なので、見とれているばかりで、なかなか食べられない。


2010年10月25日

土ボタル

 今日は、朝から一日中、雨が降ったりやんだり。先ほど、すっかり暗くなった庭に出たら、ぐっしょり濡れている夏椿の葉が顔に触れてひやっと冷たい。そろそろ暖房の用意をしなかればなどと考えていたら、足下の地面が、小さく光っている。一つ見つけると、あちこちで見つかる。クロマドボタルだ。この蛍は、夜になると餌の陸生の貝類や小動物、樹液などを求めて光りながら地面を這い回る。雌は羽が退化して飛ぶこと無く、人里近くの茂みや林道の草地で一生を過ごす。寒さの厳しい12月から2月までの間を除いていつでも活動しているようだ。特に、私のところには、たくさん生息していて、夜、イヌの散歩をする村人から不思議に思われている。きっと、僕が除草剤や農薬をいっさい使わないから、餌となる小動物がたくさんいるのだろう。
まだ、カメラにおさめる自信が無いから、今回は文章だけ。


2010年10月21日

ソバの花


 ソバの生育の速さには驚いた。先月の中旬に、A氏からいただいたソバの種をバジル畑の周りに蒔いておいたら、もう花が咲いて、実を結び始めている。これなら、「今年は不作だ!」と思って、あわてて種まきしても、冬が来るまでには収穫できるだろう。ソバが救荒作物として重宝された所以である。それに蒔いて5日もすれば発芽して、みるみる間に生長して茂り、雑草が繁茂する隙を与えないから、僕みたいな無精者には、うってつけの作物である。今年は、ほんの一握りだったが、収穫して来年はそれを蒔き、次々と畑を拡大するのだ。そうすれば、2、3年後には、完全自家製の蕎麦が打てるかもしれない。楽しみだ!

2010年10月18日

猫玉

 ピーのやつ、午後7時を過ぎると、いつも僕の長椅子の上で丸くなって眠る。熟睡していて、少しぐらいちょっかい出しても起きることはない。電球の明かりがまぶしいのか、顔を前足で覆っている。その様子が、実に可愛い。人間よりずっと野生に近いはずの動物が、こうして安心しきって眠っている姿を眺めていると、それだけで心が癒される。この小さくてか弱い生きものに信頼されているかと思うと、嬉しくなってくる。

 今、久保俊治の『熊撃ち』(小学館2009.4)を読んでいる。北海道で40年間も狩猟生活を行ってきた著者のドキュメンタリーである。僕は、これまで「罪の無い動物を殺して」生活している者に対して批判的であったが、読んでいるうちに少し考えが変わってきた。毎日のように食卓に上る「お肉」を、どこの誰がどんな風に動物を殺して得ているか全く知らないでいるほうが、よほど命を軽んじているのではないかと思うからである。雪深い森の中で、3日間も手負いのシカを追ったあげく、ついに銃でしとめ、その腹をナイフで裂き、その腹腔に凍えてかじかんだ両手を潜り込ませて温める。そこには、シカとの壮絶な命の戦いがある。著者は言う、「あのシカが生きていた価値、生きようと努力した価値は、そこから恩恵を得た私が誰よりもわかり得るのではないか」と。先日読んだ赤坂憲雄が、自然保護の原点であり、持続可能な社会を築くためのヒントは、縄文人や狩猟で生活している人々の思想にあるのではないかと言っていた意味が、少し解ったような気がする。
- いつの間にか、ピーの寝姿からとんだ方向へ脱線してしまったようだ -


2010年10月17日

アケビ


 前回のブログで書いたアケビの実が、パックリと割れて中身がのぞいている。種子の周りの白い果肉を口に含んだら、アケビってこんなに甘かったかなと思うほど甘い。これでは、きっと、昔の山の子供たちにとって最上等のお菓子だったのにちがいない。じっくり味わった後、ペッペッとたくさんの黒い種子を吐き出した。明日になったら、この種子を庭のあちこちに蒔き散らすつもりだ。やがて、そのうちのいくつかが大きく育って、甘い実をたくさんつけてくれるだろう。

2010年10月12日

サワフタギの実




 一週間続いた「筑波山の自然展」の仕事も終わって、のんびりした一日を過ごしている。志筑の「hanana」でピザの昼食をとった後、山小屋に戻った。今朝、小屋を出たきり姿を見せなかった猫のピーが、出迎えてくれた。二人(一人と一匹)して庭を見て回ると、少しばかり深まった秋をいたる所で見つけた。
 入り口の脇では、サワフタギ(別名 ルリミノウシコロシ)が、きれいな藍色の実をたくさんつけていた。これまで、秋になるとお隣のこの木に沢山の実がついているのがうらやましかったが、今年から僕のところでも実るようになったのだ。そのサワフタギの株をのぞいたら、株の中にアケビの実がぶら下がっているのを見つけた。採って食べるのには、まだ少し早そうだ。熟して皮が裂けるまで待っていても、この中なら誰にも見つからないだろう。サワフタギの足下には、白い野菊が一面に咲いていた。キク科の種類を同定するのは難しい。花を一本引き抜いて小屋に持ち帰り、図鑑であれこれ調べたが、確定するのに難儀する。冠毛が有るの無いの、葉っぱの切れ込みがどうの・・・。結局、ただのヨメナだと思うが、もしかするとユウガキクかもしれない。やっぱり難しい。でも、楽しい。

2010年10月3日

朝霧


 昨日の明け方、午前5時15分。まだ薄暗い。いつものようにピーに起こされて、外に出てみると、谷に朝霧が満ちている。こんなことは、今年になって初めてだ。もしかすると、あの幻想的な山根盆地の朝霧が見られるかもしれないと思い、すぐに、小屋に引き返して、カメラを持って、近くの高台まで車を走らせた。まだ、気温が高すぎるのだろう。確かに、霧が湧いて盆地の底を覆っているが、層が薄くて、日が昇るとすぐに消えた。これから、秋が深まのが楽しみである。今年こそは、盆地全体が霧の海に沈んで山の頂だけが島のように浮かんでいる光景を撮影するつもりだ。期待していて欲しい。  ・・・な〜んて、勇ましいことを言えるのは、まだ、早朝がそれほど寒くないからか。(写真をクリックすると大きくなります)