2012年11月26日

加波山の秋

昨日、筑波山ファンクラブの定例観察会で加波山へ登った。これまで、この山は何度も計画されているが、どういう訳か、途中で天候が悪化して、なかなか頂上までたどりつけないことが多かった。今年の春などは北条の竜巻にも遭遇した。ところが、昨日は穏やかな小春日和の天気で、山頂を踏破(笑)できたのはもちろん、ブナの結実調査までできた。途中の山道は黄葉や紅葉が真っ盛りで、澄み切った青空を背景にカエデの仲間やブナ、ヤマウルシやコアジサイ、コナラやシデ類などの木々が美しく映えていた。この季節、落葉を蹴散らしながらの山歩きは実に楽しい。
 その後、若い人たちと一緒に、筑波山へ夜景を見に行った。今回の夜景鑑賞には、街の灯りの他に、夜空の明るい月と懐中電灯に反射したムササビの双眼の光が加わった。

2012年11月20日

Kindleを入手

昨日、Amazonの『Kindle paperwhite 3G』が届いた。日本版の発表と同時に申し込んだので、発売日当日に入手出来たのだ。今からだと来年になるらしい。
 さて、その使い心地を試すために、池波正太郎の『鬼平犯科帳』(368円)と高神覚昇の『般若心経講義』(無料)をダウンロードして読んでみた。なかなか具合がいい。文庫本のように片手で持って読めて、E-inkの画面と綺麗なフォントのせいか眼が疲れない。軽くて小さいので何処にでも連れて行けそうだ。おまけに、どこにいても簡単に本が入手出来る。とくに僕が一番嬉しいのは、カビのように増え続ける紙の本から解放されることだ。
 いよいよ、今年は電子書籍の本当の幕開けになるかもしれない。だからといって、この先、紙の本が無くなるとは思えない。むしろ紙の本は贅沢品になるだろう。でも、つまらない本ばかり並べて安住している地方の書店は、経営がますます苦しくなるだろうなぁ。

今朝の山小屋


今朝の山小屋。小春日和の日差しが美しい。カツラ、ホオノキ、ヤマボウシの葉も、昨日の風でほとんど落ちた。ヤマガラ、コゲラ、シジュウカラ、エナガの群れが枝から枝へ飛び回っている・・・・・。
 こんな穏やかな気分に浸っていたら、不動産屋が客をつれて小屋の上の土地を見に来た。この土地は、周りが林に囲まれた眺めの素晴らしいところだ。夜になると野生動物の運動場になっている。僕としては、いつまでもこのままであって欲しいが、もし、誰かの手に渡るとするなら、せめて、美しい自然を理解できる人で、この静かな場所に相応しい使い方をして欲しい。これからの展開がとても気になる。これもトンネル開通の影響かな?

2012年11月15日

ブナの結実調査


 
 昨日から、筑波山のブナの結実調査を開始した。この調査は、ブナ約200本について結実状況の調査と、そのうちのサンプル木の種子300粒を採取して健全度を調査するものだ。もちろん、特別許可を得ての実施だ。今年の筑波山のブナは、当たり年かもしれない。例年だと実が付くの木はほんの僅かだが、今年は区域が限られているものの実を付けている木が目立つ。しかし、大量に付いている木は少なく、やっと確認出来るという程度が多い。それでも、枝先に実が付いているのを見つけたときは嬉しい。ましてや、その根元に幼木の芽生えを見つけた時などはなおさらだ。筑波山では、後継のブナの若木が少なく、写真のようなような幼木はとても貴重なのだ。やっと実った何千粒の中から、幸運な一粒が発芽したのだろう。是非とも、順調に育って欲しい。これからずっと見守っていきたい。

 個体番号を確認するために、岩に登ったらバランスを崩して落ちてしまった。背中を強く打って、一瞬、息が止まったが、幸いヘルメットをかぶっていて、ザックを背負っていたので無事だった。まだまだ、この調査は続くので、気を引き締めてのぞまなくては。



2012年11月13日

筑波山へ紅葉を見に

友人たちと、筑波山の紅葉を見に裏筑波を登ってきた。もう山頂付近は散っていて、標高600m付近が色づいている。今年は、紅葉が一週間ほど遅れているようだ。もっとも筑波山のは、「紅葉」でなく「黄葉」だ。時折、雲間から陽が射し込むと、コアジサイ、シラキ、クロモジ、ウリハダカエデなどの木々がレモン・イエロー色に輝いて、一瞬、森が明るくなる。アカシデ、ブナ、ミズナラ、ホオノキなどの落葉を踏みしめながら、山頂までを往復してきた。嬉しいことに、二羽のウソにも出会った。
 いまでは、静かな筑波山を楽しむルートは、この真壁・八郷側しかない。いつまでも、この環境を大切にしたいものだ。(携帯の写真なのでピントが甘いが、お許しを)


2012年11月12日

朝日トンネルを通って

つくばに用事があって、先ほど、開通したばかりの朝日トンネルを通って八郷に戻ってきた。しかし、走っていて複雑な気持ちになった。これまで、八郷盆地に入るのに、あの曲がりくねった坂道を走って峠を超えるのが、どこか異界に踏み入る儀式のようで好きだったのだけれど、トンネルではあっという間に入り込んでしまう。確かに、トンネルは気象に影響されないし、時間とガソリンの節約にもなるが、でも、やはり味気ない。とうとう、八郷盆地にも、「効率」や「便利」や「観光」などという今ハヤリの波が押し寄せてきたのかと思うと少し寂しい気持ちになる。せめて、トンネルの出口に、道祖神(塞の神)でも祀って、都会からの悪い風が吹き込まないように、また八郷盆地に溜まった筑波山の「氣」が、あの穴から漏れ出さないようにしたいものだ。

2012年11月9日

道祖神峠にて


 昼食を求めて、道祖神峠を超えて笠間方面へ車を走らせた。峠の入口にある民家の前に、温州ミカンがたわわに実っていた。道路脇に車を止めて写真を撮った。ここは吾国山の南面だから、よく陽があたって暖かいのだろう。



2012年11月8日

キツネの嫁入り


 次は、僕がKおばあちゃんから直接聞いたキツネの嫁入りの話。
 このおばあちゃんとは、4日付けのブログの写真で銀杏を干していたおばあちゃんである。彼女がまだ娘時代の頃、夏の暑い夕方、母親と妹と一緒に門の前(ブログの写真)のところで夕涼みをしていた時のことである。家の前には田んぼが広がっていて、夕方になると門の辺は田んぼから風が吹いてきてとても涼しかった。すると、田んぼの中の道を、東から西に向かって、門前を横切るように大きなと橙い光の玉が二十も三十もつらなって、ゆっくりゆっくり移動してしきたのを見たそうである。もう、その時は恐ろしくて悲鳴をあげながら家の中に逃げ込んだと言っていた。
 二度目は、おばあちゃんが明日結婚式を挙げるという春の彼岸の前日のことである。石岡から泊まり込みできていた髪結いのおばあさんに、朝方の午前三時頃に起こされて、真っ暗な中を一人で裏の井戸へ顔を洗いに行った。すると、目の前の畑の稜線のところに山に向かって黄色の光の玉が十個か二十個、列をなして動いていくのを目撃したそうである。この時は、少しも怖くなくて、むしろ、自分の結婚式を祝福してくれるんだと嬉しく思ったとのことである。

 八郷には、このような話が昨日の出来事かのように思える風景や人々の生活が随所に残っている。おばあちゃんがキツネの嫁入りを見たと言う田んぼ道も、今でもそっくりそのままの姿で残っていて僕の散歩道となっている。永遠にこのままであって欲しい。


『こんこんギャラリー』にて

  八郷の『こんこんギャラリー』をご存知だろうか?ここは、今から約十年前に、地元のモノつくりの作家たちが、自分たちの作品を発表して展示即売するために、セルフビルドしたギャラリーである。毎週木曜日から日曜日までと祝日に開いている。毎月のように様々な企画展などを開催している。その建っている場所も、狐塚といわれている丘の上にあって、周辺には、いかにも八郷らしい美しい風景が広がっている。名前の「こんこん」は、この「狐塚」から名付けられたのだ。きっと、昔はここにもキツネが棲んでいたのだろう。また、この『こんこんギャラリー』は、小さなカフェでもある。いつもはコーヒーだけだが、今日はラッキーなことに、作家の横田さんが手作りしたキノコとエビとホウレンソウのキッシュやチョコレート・マフィンもあった。ここで窓から畑や林の木々を眺めながら、素晴らしい作品を鑑賞したり、お茶や美味しいケーキをいただくのは、八郷でも極上の時間の過ごし方だ。

 なお、いくら狐塚の『こんこんギャラリー』だからといっても、上の写真の着物姿の美しい女性は狐ではありません(念のため)。


2012年11月4日

輝く光の粒々



筑波山麓の秋祭りも無事に終わった。締め括りは、友人のKさんご夫妻と夜の筑波山にケーブルカーで登り、立身石の上に立って下界を眺めた。眼下に無数の光の粒が広がり、まるで空中に漂っているかのような不思議な浮遊感覚を味わった。今でも、その光景が眼に焼き付いている。

 輝く光の粒と言えば、一昨日、Mさん親子と近所のKさん宅を訪れたとき、おばあちゃんが門の前で、銀杏を干していた。それに透明な秋の朝日が当たって、一つ一つの粒が銀白色に輝いていた。この光景を見て、「銀杏」という名前の由来が「銀色に輝くアンズ」の意味だと納得した。
 静かな山里、旧家の門前、おばあちゃん、秋の日差し、輝く銀杏・・・・。絵の中のような光景だった。