2013年11月30日

筑波山からの夜景


 本当は、風来里馬小屋に行きたかったのだけど、今日は、つくば市の仕事で筑波山麓をガイドしたり、ヤマザクラを植樹しなければならなかった。おまけに、夜は知人から、筑波山からの夜景とムササビを見せて欲しいと頼まれて、それにもつきあった。

 僕が最高の鑑賞ポイントだと思っている岩の上に立つと、突然、180度の視界が広がる。眼下は無数の光の粒々。空には冬の星々。辺りは、真っ暗なブナの自然林。風が裸の樹木を揺らす音だけが聞こえる。意識を、微かに明るみを帯びた地平線に集中すると、まるで夜空を浮遊しているような感じになる。そのまま、もう一歩進んだら、その先は絶壁。何とか、この光景を写真にしようとしたが、所詮スマホのカメラ、その何十分の一も捉えられない。
 帰り、21時近くまで、暗闇の中でムササビの出現を待ったが、今夜は出会えなかった。

2013年11月29日

今朝の庭

 

 庭の木々も色づいて、葉の落ちた枝から枝へと小鳥たちの群れが飛び回っている。気持ちの良い朝だ。コーヒーでも飲もうと思ったら、豆を切らしている。すべて完璧は難しい。


2013年11月25日

晩秋の野山を歩いて


 植物画のM先生や絵の仲間たちと一緒に筑波山の山麓を歩いた。今頃の野山には、ほとんど花が無い。それでも、鮮やかに色づいた紅葉や黄葉の下を散歩するのは、実に楽しい。

ムラサキシキブ
静かな晩秋の林道を歩いていて、黄金色に輝く葉を見つけて大喜びしたり、つややかに光る赤い実を見つけては溜め息をついたりと、なかなか先に進まない。やっとのこと歩き出したかと思うと、こんどは宝石のような青い実を見つけて、また足が止まる。





コアジサイ

 そんな訳で、予定した行程の三分の一も行かずに引き返した。でも、時間や行程に拘束されずに、思う存分、野山の彩りの中に浸るのも、自然を味わう上でとても大切な事。贅沢なすごし方だ。(是非、写真をクリックして、大きな画面で見て欲しい)


2013年11月24日

パラグライダーの群れ

 Fさんの風来里馬小屋を訪問して、馬の遊ぶ庭から、ふと、空を見上げるとパラグライダーの群れが。小春日和の透明な空に、何羽もの色鮮やかな「鳥たち」が舞っていた。一緒に行った友人には、やさとの自由なライフスタイルを象徴する光景と映ったようだ。その後、クラフトフェアーでたくさんの友人たちと会い、TさんとSさんのパン工房を訪れた頃には、もう、すっかりYASATOの雰囲気に酔っていた。

2013年11月18日

スズメウリとフユイチゴ   


カラスウリより小さくて可愛いからスズメウリ。お隣の道端に、すっかり葉が落ちて、実ばかりになったスズメウリがたくさんぶら下がっていた。この実は、青いうちに齧るとキュウリの味がするのは知っている。一緒にいたK氏によると、灰白色に熟した実は、メロンの味がすると言うのだけど、(勇気が無くて)まだ試していない。


これは陽だまりのフユイチゴ。冬でも深い緑の葉の間から、真っ赤なルビーのような果実がのぞいている。この実は、甘酸っぱくて確かに美味しい。もう少し大きければいいのだが。



2013年11月15日

西方浄土

 笠間のY先生から筑波山ビジターセンターで展示するキツネの剥製を借りて来た帰り、石岡と八郷の境にある龍神山の麓までさしかかると、まさに筑波山の向こう側に秋日の太陽が沈もうとしているところだった。常陸国の国府と国分寺が置かれた場所は、ちょうど、この龍神山と筑波山を結ぶ線上に位置している。きっと、はるか昔、国府の人々も、こうした光景に向かって手を合わせたのに違いない。やはり、筑波山は、古代から現在に至るまで、ずっと特別な信仰の山であることを、改めて認識した。振り返ると、東の空に虹がかかっていた。

『いまをさること十劫の昔、阿弥陀仏は成道して西方十万億の仏土をすぎた彼方に浄土を構えられた。そして、現在でも、この極楽で人々のために説法している。この極楽という仏土は広々としていて、辺際のない世界であり、地下や地上や虚空の荘厳は微をきわめ、妙をきわめている。この浄土にある華池や宝楼、宝閣などの建物もまた浄土の宝樹も、みな金銀珠玉をちりばめ、七宝乃至は百千万の宝をもって厳飾されている。しかも、それらは実に清浄であり、光明赫灼と輝いている。衣服や飯食は人々の意のままに得ることができ、寒からず暑からず、気候は調和し、本当に住み心地のよいところである。また、聞こえてくる音声は、常に妙法を説くがごとく、水鳥樹林も仏の妙説と共に法音をのべる。したがって、この浄土には一切の苦はなく、ただ楽のみがある。』 (Wikipediaの「西方浄土」より)


2013年11月14日

ふくれみかんのジェラート

 
先週のこと、湯袋峠の入口で農家のおばさんから、ふくれみかんをいただいたので、真壁の橋本珈琲へ持ち込んだ。少し前に、マネージャーの山浦さんが、ふくれみかんで何かデザートを作ってみたいと言っていたからだ。彼女が淹れたコーヒーが美味いのは当然だが、実はケーキ作りの力量もなかなかのものだということを知っている。彼女がどう料理するかが楽しみだ。大いに期待が持てる。それというのも、このふくれみかんを使ったお菓子は、これまでに、多くの人が挑戦しているが、なかなか成功していないからだ。あの独特な香りが飛んでしまって、苦みと酸味だけになってしまったりと難しいのだ。唯一成功している言えるのは、昔から伝わる七味唐辛子くらいのものだ。

もう、出来た上がった頃だろうかと昨日訪れたら、何とカウンターの上に「ふくれみかんのジェラート」とメニューが置いてあるではないか。早速、試食をさせてもらって驚いた! 完成度がかなり高い。これまでで一番かも知れない。ちゃんと爽やかな香りが残っていて、甘みと苦みと酸味が絶妙なバランスで調和している。色も優しい。季節限定のメニューだそうだが、夏の「エスプレッソのかき氷」に続いて、「大人のための」秋のデザートの誕生である。

 ふくれみかんは、謎とロマンに満ちた果実である。万葉集巻二十に「橘の下吹く風の香ぐわしき、筑波の山を恋ひずあらめかも」と歌われている「橘」とは、このふくれみかんのことか、それとも古代の筑波地方では、柑橘類を総称して「橘」と称していたのか、研究者の間でも諸説ある。更に、倭武命と弟橘媛命の東征、冬でも青々と枯れることのない常世の国である「常陸」との関連、嬥歌の風習とのつながりなどなど、・・・ 。いずれにせよ、ふくれみかんは遠い遠い歴史を秘めている謎の古みかんであることは間違いない。そんなことに思いをはせながら「ふくれみかんのジェラート」を味わってみたら、味に一層の深みが加わることだろう。


2013年11月12日

「小砂焼」を知っている?


庭に昔の煉瓦を敷いている
小屋にじっとしていられなくて、笠間に行ってみようと小屋を出た。笠間まで来たら、山の木々が美しく色着き始めていて、「奥はもっと美しいぞ」と誘っているようだ。それなら、栃木県茂木まで行ってみようと思って向かった。茂木まで来たら、まだガソリンと時間はたっぷりあるし、馬頭まで行って温泉に寄ってみたくなった。湯船の窓からは、雪を冠った那須の山々と那珂川の流れが眺められる。秋の透明な日差しが、湯気を白く照らしている。

 帰り、近くの藤田製陶所に寄った。ここは、唯一現在まで続いている小砂焼(こいさごやき)の窯元だ。この窯は、安政3年(1856年)創業で、現在では六代目の藤田眞一氏が陶主である。この地で、天保元年(1830年)に徳川斉昭が陶土を発見して以来、水戸藩の御用窯であったり、幕末には反射炉用陶土を搬出したりした。更に、明治には日本で三番目に製陶技術学校が開設され、そして大正には日本で二番目の煉瓦工場が稼働するなど、この地は、日本の窯業史に重要位置を占めている。

しかし、今は、小砂焼を知る人も少ない。製陶所も教えてもらわなければ見過ごしてしまうかもしれない。静かな山里に、土壁の崩れかけた工場が、ひっそりとあるだけである。僕は、この小砂焼の質感と独特の色合いが好きで、約35年前に初めて訪れてから、近くに来た時には必ず寄って椀や茶飲みを買って帰った。今回は陶主の奥様に工場内を見せてもらった。土粉の厚く積もった古い木造の建物の中に、陶土を砕く巨大なボールミルや水分を除く圧縮機などが、ひっそりと佇んでいる。何でも、このミルは、煉瓦を焼いていた頃のものだという。すると、100年間も働き続けていることになる。残念なのは、先の震災で登り窯が壊れたままになっていることだ。
 陶土はいくらでも近くで採取出来るという。ここでは原料から作品の制作までを、一貫して家族で行っている。たぶん、こんな焼き物は他では無いだろう。

 隣の工房では、庇から奥まで入り込んだ秋の日差しをあびながら、陶主の藤田氏が一人で轆轤を回していた。
 

2013年11月8日

雨引観音のおみやげ屋さん


 天気は良いし、何の予定も無い。お腹も空いたので、峠を越えて真壁へ食事に行った。帰り、このまま小屋に戻るのは何かもったいないように思えて、車を北に向けて雨引観音に行く事にした。約十年ぶりの参拝である。確か、この寺は坂東三十三カ所の一つで、開創が6世紀後半で、昔から皇室の安産子育ての祈願所となっており、本尊が延命観世音と言う珍しい寺だと覚えている。

お寺はさておき、僕が気になったのは、門前に一件だけあるおみやげ屋さんである。店内には、所狭しと竹細工や玩具が並んでいる。奥の電灯の下では、優しそうなおじさんが店番をしている。売り物には、さまざまな籠や笊の類の他に、どう使うものか解らないものもある。棚の上で埃をかぶっているのは、何年もの間、置きっぱなしになっていたのだろう。妙に、懐かしい雰囲気だ。ここだけ時間が止まったままのようだ。店の軒下には、近所で採れた野菜が、無造作に段ボール箱に入ったまま並べられている。あまりに長く店にいたので、何か買いたいと思ったが、とっさには思いつかない。仕方が無いので、結局、一袋260円の桜川産の自然薯を買って帰った。さっそく、夕食を「とろろ汁」にしたら、これが実に滋味深く美味しかったのでつい食べ過ぎてしまった。



2013年11月4日

秋蛍が盛んに光っている

今、山小屋では、ホタルが盛んに光っている。今夜も、庭のヒメシャラの木の下で光っていた。といっても、空を飛びながら光るホタルではなくて、いわゆる「土ボタル」というものだ。9月から11月の初めにかけて、野山の落葉の陰などで小さく光るから、「秋蛍」などと風流な名前がついている。これはクロマドボタルの幼虫で、陸生の貝などを餌としている。僕の庭には、この餌となる貝がたくさんいるらしく、この蛍が多く生息している。夜、犬の散歩をする人から、この地面で光っているのは何かとよく聞かれる。昔は、マムシの目と間違われて恐れられたようだが、正体は写真のように小さな虫である。(あぁ〜! またも、奇怪な生きものをアップしてしまった)


2013年11月2日

最近のピー

 「毎回、主人のブログを開けるたびに、ゲジの奇怪な姿が現れて不快に思われた方も多いと思います。そこで、多少なりとも気分直しなにればと思って、最近の僕の写真を掲載します。」・・・「もし、ぜんぜん気分直しにならなかったら、ごめんなさい」と、ピーが言っていました。


 近頃は、すっかり朝晩が寒くなってきて、あいつは、夕べなど僕のベットの中に潜り込んで朝方まで熟睡していた。ふわふわの毛で湯タンポ知らず。