2014年7月30日

深夜の来客


 山小屋にはいろいろな客が訪れる。特に深夜になると天使から鬼のようなのまでがやってくる。小屋の灯りに誘われた虫たちである。今夜の主賓はカミキリムシで、捕まえてその顔つきや格好をしげしげと眺めてみると実にカッコいい。図鑑で調べたら、大きい方はシロスジカミキリで、こいつが庭のコナラやクヌギに穴を開ける犯人である。大きいはずだ。シロスジカミキリは、日本に分布するフトカミキリ亜科の最大種だと書いてある。首の後ろをこすり合わせて「ギィギィ」と騒ぐ。小さい方は、どうやら「矢筈天牛」のようで、何と読むかはクイズだ(笑)。彼らは、僕が大切している木々の敵なので、即刻処刑してやろうかと思ったが、あまりに立派な姿なので迷っている。明日まで執行猶予とする。


2014年7月15日

ヤマユリの道


 今頃の時期、小屋の下の道は「ユリ街道」になる。道を歩くと甘い濃厚なヤマユリの香りに包まれる。特に、風の無い夜など散歩すると、なおさら強く感じられる。この杉林の中には、苔むした古いお墓がある。小屋を建てた頃、墓石のあたりで闇の中に白いものがぼんやりと浮かんでいるのを見てドキッとしたことがあった。その正体は大株のヤマユリの花だった。また、少し前になるが、やはり夜の散歩をしていたときのこと、この道の向こうからLEDの懐中電灯を持った人がやって来た。近づいたら挨拶しようと思ったら、突然、青白い光はスウ〜ッと空中に舞い上がり、やはりお墓の方に消えていった。この時も驚いたが、すぐにゲンジボタルだと気がついた。暗闇の中に一匹だけ光るゲンジボタルは、思いのほか大きく見えるのである。
 話をユリに戻すと、ヤマユリは、日本固有の植物で、その豪華さは世界に誇れる花である。万葉集にも歌われていることから、昔は筑波山塊にはたくさん生えていたようだ。現在のように少なくなった主な理由はイノシシの食害によるものと思われる。お願いだから、イノシシのマネをして、少なくなった野生のヤマユリを盗掘するのは止めて欲しい。



2014年7月10日

台風の来ない間に


 いや〜、忙しかった。先月は、筑波山ビジターセンタから始まり、ずっと忙しくてプログを更新する余裕が無かった(言い訳です)。やっと、少し落ち着いたので、前から気になっていたジャガイモ掘りを敢行した。心配していた通り、幾つかは腐り始めていたが、僕が山小屋で食べる一年分ぐらいは収穫出来た。ジャガイモは、他の野菜とは違って、手元にたくさん蓄えがあると何故か安心する。この安心感は、「ジャガイモさえあれば、他に何も無くてもお腹がいっぱいになる」というような思いが、心のどこかにあるからかも知れない。それに、長期の保存もできて、様々な料理に使えて美味しい。

 ジャガイモ掘りが終わって、小屋の入口まで行ったらヤマユリが見事に咲いていた。このユリは、昨年までこんなにたくさん蕾を付けていなかったが、今年は7つもある。記念写真を写してあげようとカメラを構えても、台風からの風に煽られて、なかなかじっとしていてくれない。

追伸:
 こんこんギャラリーへ行って小屋に戻ったら、例のヤマユリが倒れていた。次第に強さを増して来た台風の風に抗いきれなかったのだろう。可哀想に、まだ、咲いていない蕾が3っもあるのに。そのままにして置こうか? それとも切り取ってきて小屋に飾ろうか?