2015年6月1日

テイカカズラが咲いた


 庭の東側のコナラの幹にびっしりと巻きついているテイカカズラが花を咲かせた。濃緑の葉とややクリームがかった白い花のコントラストが美しい。プロペラのようにねじれている5枚の花弁の形が面白い。以前、笠間の陶芸美術館で、この花を文様風に並べて描いた富本憲吉の工芸品を見たことがある。彼が失意のうちに帰郷したときに奈良の自宅の庭先でこの花と出会い、以降、多くの作品のモチーフにしたと解説にあった。
 また、テイカカズラは、古くから日本人の心を惹きつけたようだ。万葉集や古今和歌集などではイワツナ、ツタ、マサキノカズラという名前で歌われている。そして、名前の由来は、謡曲「定家」であると言われている。これは、平安時代の終わり、歌人として有名な藤原定家が慕っていた式子内親王が病で亡くなった後も、蔦葛となって墓石にまつわりついて苦しめたので、皇女の霊は旅の僧に助けを求めたという話である。「愛」も過ぎれば「貪」となる(笑)。冬でも深い緑の葉を茂らせ、大木にもよじ登る生命力、そして花と果実の特徴ある形に、人々は強い関心を寄せたのだろう。
 僕もヒノキ林の林床が、テイカカズラの幼木で覆われていたを見てその繁殖力の強さに驚いたことがある。キョウチクトウ科で有毒。


2 件のコメント:

go aoki さんのコメント...

当店の北側塀に定家蔓を植えてあります。
ようやく、塀を飾るほどに繁茂いたしましたが、いまだ一度も花にお目にかかってはいません。
機会あれば、ご一瞥お願いいたします。
白飯家・青木

RAMUNOS さんのコメント...

なるほど、壁に這わせるのはいいアイデアかもしれませんね。冬でも緑だし、花も咲いて、夏から秋にかけては、まばらに真っ赤な色に紅葉する。それに、たいへん丈夫だし! 今度、伺わせていただきます。