2011年3月17日

サンシュウ

震災で多くの人が死んだり苦しんでいるというのに、庭のサンシュウが明るい黄金の花を咲かせている。猫のピーは、のんきに小鳥を追い回して遊んでいる。

福島原発が心配でならない。著者の本橋成一さんから直接に譲ってもらった写真集『ナージャの村』を書架から取り出して眺めた。この本は、1986年のチェルノブイリ事故で核汚染されたパーブジェ村で頑に移住を拒んで住み続ける村人の生活を記録したものである。写真は、みな美しく明るい農村風景ばかりである。でも、どこかに静謐さと悲しみが漂っている。それが、静かに核汚染の恐ろしさ、人間の愚かさを訴えている。83歳の老人に、どうして移住しないのかと聞いたとき、どうしてそんなことを聞くのかという顔をして「どこへ行けというのか。人間が汚した土地だろう。」と答えたという。この言葉が忘れられない。

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