2012年8月29日

このごろの日課

このところ、自由に使える時間が増えたので、庭の草刈りと言うより「開墾」に精を出している。まず、朝起きて、朝食をとり、コーヒーを飲んだ後、作業着に着替えて、前夜に計画したエリアを草払機で刈る。燃料が切れたら終わりにして、水シャワーを浴び、どこかに昼食を食べに出かけるのが、このごろの日課になっている。
 今年の夏はいろいろあって、一度も草刈りをしなかったから、庭の上半分はまるで原野になっている。ススキ、キクイモ、ヨモギ、セイタカアワダチソウなどの上をクズやカナムグラが覆っている。植えたはずのミニトマトを探すにも苦労した。1時間もすると全身が汗でぐっしょりとなる。カナムグラの刺で引っ掻かれた腕に汗がしみて痛い。草払機を振り回しすぎて腕から力が抜ける。やっとのこと、トマトまでたどり着き、まだ残っていた実をつまんで食べたら、すごく甘くて美味しかった。トマトを夏草から救い出してあげたご褒美だ。この苦行は、明日も続く。今までにだいぶ捗ったが、まだまだ200坪ぐらい残っている。でも、今週中にすべてを終えるつもりだ。ピーは、すっかりきれいになった野外テーブルの上で見物と決め込んでいる。あいつは全く役に立たない。



2012年8月27日

カツラの葉が黄ばみ始めた


 もう、そういう季節なのか、それとも、このところ雨が降らなくて地面が乾ききっているからか、庭のカツラの葉が黄ばみ始めた。もともとカツラは、谷すじの水分の多い土地に生えている木だから、この夏の日照りがこたえたのかもしれない。黄色くなった葉は、はらはらと地面に落ちる。その落ちた葉から甘く香ばしい香りが漂い、風の無い夜などあたりに立ちこめる。ハート形の瑞々しい新緑、清々しい緑の夏葉、秋の黄葉、そして、落葉の香り・・・。カツラは、日本特産の美しい木だ。

植物たちのためにも、雷の一雨が欲しい。



2012年8月26日

真壁の伝承館へ行く


オオカミ好きな「しがさん」のところへ、『オオカミの護符』の本を届けに訪問した。しがさんが、今、となり町の真壁伝承館歴史資料館で企画展をやっているというので、一緒に見に行く事にした。この真壁伝承館は、昨年、街の中心にオープンしたばかりの施設で、歴史資料館の他、図書館、音楽ホール、講座室などがある街の複合館である。こういうのはよく地方都市に在るが、ここのは建物のデザインが素晴らしい! 白壁と敷き石のグレー、そして黒い板壁のモノトーンが美しい。真壁の古い町並みと良く調和している。さすが石の街・真壁らしくふんだんに花崗岩を使用している。それでも威張っている訳でもなく、こじんまりとしていて、新鮮な感覚に溢れている。歴史資料館では、この地方がかつては文化と政治の中心地であったことを、様々な発掘品や展示物が示していた。小屋から片道30分の「小旅行」だったが、改めて真壁や筑波山麓の奥深さや魅力を知ることが出来た。
写真は、伝承館の図書館二階にある閲覧室。明るい柔らかな光にあふれ、ひっそりとしていて、難しい本を持ち込んで昼寝するのには最適な場所のようだ。

2012年8月25日

『山小屋カフェ 森羅荘』にて

 また一つ、八郷の素敵な場所を見つけた。筑波山から東に流れる尾根の中腹に、別荘のような建物が何棟かあって以前から気になっていた。その内の一つが、休日に限って予約制のカフェを開いており、しかもツリーハウスまであるというのだ。さっそく、通されたのは、そのツリーハウスである。南東に開けた斜面に生えたエノキの大木に、3年がかりで小屋をつくったそうだ。ツリーハウスといっても、薪ストーブもあれば、ウッドデッキもある。デッキの長椅子に座ると、前面の大きなヤマザクラの方向から、心地よい谷風が吹き上げてくる。ヤマザクラの枝を透かして、となりの尾根の稜線が見える。鳥たちが鳴きながら飛び交っている。こんなところで、美味しいコーヒーとケーキをいただけるなんて、ずっと前から僕が理想としていたことだ。また、メインハウスからの眺めも素晴らしい!大きなガラス窓から、東筑波の山並みが見渡せる。なだらかな山の斜面に清々しい色合いでスギの梢が並んでいる。きっと、ここは夜空も美しいのに違いない。


この場所や建物の雰囲気を理解して、大切にする人に来て欲しいとオーナーのOさんも言っていた。僕も同感だ。八郷の美しさや自然の素晴らしさを、静かに味わいたい人だけが訪れて欲しい。
と、いう訳で、場所の一般公開は控えます。アシカラズ!(笑)



2012年8月24日

『オオカミの護符』を読む

 一昨日、小倉美恵子著の『オオカミの護符』(新潮社 2011)を柏の書店で見つけて、一晩で読み終えた。こんなに夢中になって読んだのは、しばらくぶりだ。著者は、自宅である川崎の農家の土蔵に貼られた一枚のオオカミの護符と出会い、あたかもオオカミに導かれるかのように、縄文にさかのぼるオオカミ信仰の源流を訪ねる。そして、ついに「戦後、私たちは東京に目を奪われて慌ただしく過ごしてきたが、祖父や祖母、そして武蔵國のお百姓は皆、山に気持ちを向けて生きてきた」ことを発見して、百姓とオオカミ、すなわち人と自然風土の関わりを見つめることで、「「山の世界」、すなわち自分たちを生かしめてくれる「命の根源」そのものへの思い」が、やがて山岳宗教へと結晶して行ったと思いいたった。
 この本を読んで、以前から山小屋の壁に掛かっていたオオカミの絵馬を取り出してみた。これは20年ほど前に、家族で栃木県のどこかの神社に初詣にいった際に求めたものである。この図柄に、こんな歴史と生活、そしてこれからの未来に必要なものがあったなんて! 改めて、しみじみと眺めた。


2012年8月20日

ピーの失踪

 ピーには、ずいぶん心配させられた。夕べの8時過ぎ、小屋の前で一緒に遊んでいた後、突然、姿をくらまして、24時間を経た先ほど戻ってきたのだ。
 
 このところ体調が悪く、昨夜も熟睡でなかったせいか、うつらうつらしている合間に、べっとりと猫の真っ赤な血が床についている嫌な夢を見た。不安になって目が覚めた。いつもなら、足元で寝ているピーの姿がない。やはり、夜中になっても帰って来なかったのだ。こんなことは今までに一度もない。いやな予感がした。もしかすると、車に轢かれたか、大きな動物と戦って怪我して、小屋に戻ってこられないのかもしれない。早朝、名前を呼びながら、小屋の周りを探したが、どうしても見つからなかった。今日は、筑波山での調査がある。どうしても休めないのだ。いつまでも探し続けられないので、餌を置いて小屋を出た。

 仕事が終わり、ひょっとすると僕の留守の間に帰っているのではないかと期待して、急いで小屋に戻った。しかし、朝に置いておいた餌は手付かずのままだった。やはり、あいつに何かあったのだ。ピーが好きそうな場所を、ずいぶん探した。暗くなりかけた田んぼ道をあちこち探して歩いた。黒い塊があると、はっとする。でも、見つからなかった。歩いている途中で、「夕べ姿を消す直前に、僕の足に忍び寄ってアタックした」が、あれが最後の挨拶だったのかなと思ったら無性にさびしくなった。もう、あいつと一緒に遊べないのかと思ったら、涙がでるほど悲しかった。

 あたりは闇にすっかり包まれて、もう、あきらめかけた頃、小屋から、1kmぐらい離れた田んぼ道を歩いていると後ろの方から、聞きなれた「ミュー、ミュー」という鳴き声が聞こえる。「ピーか?」と声をかけると、黒い塊が急いで近づいてくる。ピーだった。抱きかかえると、いつものふわふわした毛並みの温かさが伝わってくる。ずっしりとした重みも感じる。ピーも、よほどうれしかったのだろう。いつもなら5分も抱かせてくれないが、ずっと小屋に帰るまで、おとなしく僕の腕の中にいた。
めでたし!めでたし!


2012年8月16日

「小さな森の大きな展覧会」へ

強い日差しの中にも、どこかに秋を感じさせる今日、笠間の伊藤アトリエで開催されている「小さな森の大きな展覧会」へ行って来た。杉と檜の森の細い道をたどって行くと、突然視界が開けてアトリエ兼住居が現れた。建物の内部は、真っ白な漆喰の壁が基調なっていて、吹き抜けの大きなガラスの部屋に、いくつものギャラリー空間が連なっている。それぞれのスペースには、ご家族、一人一人の作品が展示されていて、お孫さんの日菜子ちゃん(5歳)の新作もあった。作品は、いずれも魅力的なものばかりで、伊藤公象さんやご子息の伊藤遠平さんの作品には、どこかこの場所を暗示させるような大地と生命の静かな力のようなものが感じられた。案内していただいた途中に、様々な素材や機器が並んだ制作室もあった。このように作品とそれが生まれた現場、土地、そしてご家族のすべてを一緒に「全体として鑑賞」できる機会はそうないだろう。とても貴重な体験をさせていただいた。
(会期は26日まで、詳しく知りたい方は私にメールして下さい)


2012年8月9日

風が吹き抜ける


久しぶりに笠間の日動美術館へ行った。企画館とフランス館をつなぐ空中通路を、爽やかな風が吹き抜ける。静かな展示室で、一つひとつの絵とじっくり対話ができた。小屋に戻ってから、昨日摘んだブラックベリーを煮てジャムを作った。夜は、チャトウィンの『どうして僕はこんなところに』の中から、適当な小品を選んで読んだ。

よい一日だった。

2012年8月8日

ブラックベリー摘み


筑波山麓グリーン・ツーリズム推進協議会が主催した「ブラックベリー・ジャム作り」体験に参加した。場所は、筑波山の裾野であるつくば市臼井地区。南向きの畑に、ブラックベリーやイチジク、柿、トマトなどがたわわに実っている。大人も子どもも、手をベリーの汁で、真っ赤に染めながら収穫した。その後、松本ご夫妻の指導で、ジャム作りを実演した。焼きたてのパンにつけての試食や、採りたての野菜を使ったお昼飯のご馳走など・・・。何もかもが実に美味しかった。楽しかった。これまで、僕はブラックベリーを誤解していた。ジャムやジュースにすると野性味を感じる適度な酸味が、いかにも夏の果物という感じだ。ご主人から、発酵させてワインにすると更に絶品だと聞いた。今、摘んで来た実をジャムにするかワインするか、悩んでいる最中である。こんな体験をすると、庭の上半分を「ベリー園」にするという昔の構想が、また、よみがえりそうだ。


2012年8月7日

涼しいところで

猫は快適な場所を探す天才だが、ピーもその通りだ。木陰で風のよく吹き抜けるデッキの上が、すっかり気に入ったようで、朝からほとんど一日中、そこで居眠りしている。ときどき目覚めては辺りを眺め回しているだけで、いっこうに、その場所から離れない。
 写真(要クリック)を見て、ピーの瞳が左右で大きさが違うことに気が付いただろうか。これは、去年の今頃、何者かによって右眼を潰されたからだ。果たして、見えているのかどうか判らないが、今ではすっかり元気になって、寝て・食い・遊ぶ平和な日々を送っている。

2012年8月5日

ルビジノへ

ずっと以前から行ってみたかった出島の『ルビジノ  -ロロカロハルマタン的茨城生活報告-』へ向かった。ここは彫刻家の前川秀樹夫妻が、月に数日間だけ開いているカフェ&ギャラリーだ。とても分かり難い所にある。でも、一度見つけて庭に入ると、もう、そこは前川さんの世界だ。長い時間、地中海の潮風にさらされていたような木彫の女神像たちが、じっと客席を見つめている。僕は奥さんから薦められて、庭の大きなイチョウの木陰でコーヒを飲んだ。気持ち良い風が、庭の木の葉を揺らしながら吹き抜ける。風で入口の大きなハスの葉が揺れる。ときおりアゲハが飛んでくる。イチョウの幹でセミが大声で鳴いている。霞が浦の湖面を渡ってくるからだろうか、確かに、ここの風は八郷とは違う。陽の光も八郷よりも、明るくて強いようだ。この風と光りは、前川さんの作品や彼が淡路島の生まれであることと、どこかで通じているように思えた。
前川ご夫妻がたいへんな自然好きなのが判り、すっかり蝶やカミキリ、フクロウやムササビの話題で盛り上がり、楽しい真夏のひと時を過ごすことができた。なお写真の猫と遊んでいる女性とは無関係です。念のため(笑)。

また暑い一日が始まる

暑い日が続く。ピーは、いつもの食欲を失って寝てばかり。暑い昼間に寝ているものだから、夜、涼しくなると、元気になって遊び回っている。勝手に一人で遊んでいるならいいが、明け方になるとお腹が空くようで、必ず僕を起こすのだ。無視していると、タオルからはみ出た素足を齧るのだからたまらない。今朝も、午前3時に起こされた。再び、やっとのことで眠れたと思ったら、今度は近くから聞こえる草払機の音で目が覚めた。早朝の涼しいうちにと、お隣が土手の草刈りを始めたようだ。もう眠るのはあきらめた。ベットから起き上がり、隣の部屋に行ったら、昨夜の蚊取り線香の煙が、まだ部屋に充満していて、それに朝日が射し込んで、美しい縞模様が出来ていた。床には、木立の影が映っている。八郷の朝晩は、比較的涼しいが、もう少し経つと、また暑くなるだろう。眠い。



2012年8月3日

天王崎にて

少し日にちが戻りますが、この日も広い景色が見たくて、霞ヶ浦の岸辺をドライブしていました。偶然、「日帰り温泉」の看板を見つけて、立寄ったところ、とても気分の良い温泉だったので書き残したくなってしまいました。それは天王崎というところにある「白帆の湯」です。湯船は3階にあって、風呂に入りながら霞が浦の広々とした湖面が見渡せるのです。泉質は、天然温泉らしくやや褐色の色をしていて、入っている客は、地元のおじいちゃんが2、3人だけ。浴室は、湖面が午後の光を反射して明るい光に溢れていました。露天風呂は隣にあって、そこからは、はるか遠くに浮島の岸辺や桟橋に係留された小舟が眺められます。真夏の太陽と風呂で火照った身体に、湖面を渡ってくる風が吹き付けます。その気持ちの良いこと! あの日以来、何度も何度も、その時の風の感触を思い出しては楽しんでいます。



2012年8月1日

広々とした景色が見たくなって

今日で、これという目的も無くドライブに出たのは3日連続だ。無性に、広々とした風景が見たくなって、霞ヶ浦へ向かった。真夏の正午。誰もいない湖畔に腰掛けて、途中のスーパーで買ったパンを齧った。夏雲の間から、ときどき強い日差しが照りつける。湖面を渡ってきた風が、火照った全身を冷やす。カワウが数羽、はるか遠くの水面を飛んでいる。・・・ この2ヶ月間の疲れが溶けていくようだ。振り返ると、見渡す限りのハスの田んぼ。青々とした葉影で驚くほど大きな花が咲いていた。