2014年10月26日

カツラの落ち葉


 先日、小屋に来た客が、「いい匂いがする。何だろう?」と言っていた。今頃の山小屋はこの匂いで包まれる。香ばしい醤油せんべいのような、キャラメルのような、ある人はチョコレートのようだともいう。その元は、カツラの落ち葉である。秋になると黄色に紅葉して、やがてハラハラと落葉する。この落ち葉から懐かしい甘い香りが立ちのぼるのだ。カツラは方言で「コウノキ」、「マッコノキ」とも言って、青葉を乾燥させて粉にし抹香として使った。春先の可愛いハート型の若葉から秋の紅葉、甘く薫る落ち葉、すくすく伸びる涼しげな樹形、そして、不思議な形の花と果実・・・、材としても木目が綺麗で耐久性があり優秀だ。こんなカツラは僕の大好きな木であるが、難点はただ一つ、成長が早くてすぐ大木なることだ。都会の庭に植えたら、あとで後悔することになるだろう。カツラを庭に5本も植えられるのは、やはり田舎に暮らす者の特権だ。

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