2015年6月17日

小屋への訪問者【閲覧注意】

 出かけようとしたら、小屋の表札にクスサン(樟蚕)の幼虫が這っていた。どうやら、入り口の栗の葉っぱを食べ尽くして、あたりに散らばったようだ。その一匹が、小屋を訪問したのだろう。よく見ると、全体が淡いエメラルドグリーンで、それにふさふさの毛と体の両脇にあるブルーの模様(気門)が、なかなか美しい。この幼虫のふさふさした毛は刺さないから「針」ではないのだ。地方によっては、愛情をこめて? シラガタロウ(白髪太郎)と呼んでいる。綺麗な体色、ふさふさの毛、それにズングリした体とのんびりした動き・・・だんだん可愛くなってきたでしょう(笑)。もっと、はっきり見たい人は、右下の写真をクリックして欲しい。でも、可愛く思わない人のために、一応、【閲覧注意】としておきます(笑)。

 表札といえば、先日近所の人が救急車を呼んだ時、「ビオトープの近く」と言ったら、すぐに場所が解ったそうだ。そういえば、7、8年前に冗談半分で、小屋の表札に「青柳ビオトープ園」と書いていたことがある。その後、何気なくグーグルマップを見たら、僕の小屋が「ビオトープ園」と表示されていたので驚いた。慌てて消してもらったが、今でも消防署などでは通用しているようだ。まあ。これはこれで、何かあったときには、すぐに来てもらえるので便利かもしれない。



2015年6月8日

コウホネ(河骨)

 真夏の昼間、吹き出す汗をぬぐいながら繁茂する葦原をかき分けて、やっとのことで沼縁までたどり着くと、澄んだ沼の水面に河骨(コウホネ)の群落が一面に広がり、つやつやした深い緑の葉の間から黄色の花がのぞいている。一瞬、時間が止まる。・・・こんな光景も、僕の原風景の一つだ。そのせいか、コウホネが好きだ。昨年、知人からヒメコウホネの株をもらって、庭のコンテナに植えたら順調に育って花を咲かせた。時々、その前に座って、濃緑の大きな葉と蝋細工のような鮮やかな黄色の花を眺めては、子供の頃の「冒険」を思い出している。

 河骨(コウホネ)とは妙な名前だが、これは水中の地下茎が、まるで白骨化した人の背骨に似ているからだ。これを川底の泥に埋まっている人骨と見間違えてギョッとしている人の表情が想像できる。


2015年6月1日

テイカカズラが咲いた


 庭の東側のコナラの幹にびっしりと巻きついているテイカカズラが花を咲かせた。濃緑の葉とややクリームがかった白い花のコントラストが美しい。プロペラのようにねじれている5枚の花弁の形が面白い。以前、笠間の陶芸美術館で、この花を文様風に並べて描いた富本憲吉の工芸品を見たことがある。彼が失意のうちに帰郷したときに奈良の自宅の庭先でこの花と出会い、以降、多くの作品のモチーフにしたと解説にあった。
 また、テイカカズラは、古くから日本人の心を惹きつけたようだ。万葉集や古今和歌集などではイワツナ、ツタ、マサキノカズラという名前で歌われている。そして、名前の由来は、謡曲「定家」であると言われている。これは、平安時代の終わり、歌人として有名な藤原定家が慕っていた式子内親王が病で亡くなった後も、蔦葛となって墓石にまつわりついて苦しめたので、皇女の霊は旅の僧に助けを求めたという話である。「愛」も過ぎれば「貪」となる(笑)。冬でも深い緑の葉を茂らせ、大木にもよじ登る生命力、そして花と果実の特徴ある形に、人々は強い関心を寄せたのだろう。
 僕もヒノキ林の林床が、テイカカズラの幼木で覆われていたを見てその繁殖力の強さに驚いたことがある。キョウチクトウ科で有毒。