2020年2月26日

「半田山の七ツ石」探索(前編)

昨日、Kさんと「半田山七ツ石」の探索を敢行した。成果は上々で、うち五つを見つけることが出来た。残る二つは、後日に「七不動」探しと合わせて実行するつもりだ。
実に楽しかった。暗いヒノキ林の中に忽然と現れる巨石。大地から地上に顔を出したものの人々から忘れ去られてしまった可哀想な恐竜。そんな彼らに会いに行くような気分である。
 写真は、三番目に訪れた「神楽石」である。圧倒的な迫力でそびえている。名前の由来は判らないが、二つの大岩がお神楽「天岩戸」を舞っている姿に見えたのか? うまいことに、大岩の間に生えている木が、東日本では稀な「リンボク」だったことだ。アメノウズメ(天鈿女命)が、全裸で踊った時に落とした玉串の枝が根付いたのか(笑)?。
ごく近所でも、丹念に探せば、まだまだ魅力的なところや知らない場所はいくらでもある。

2020年2月21日

『えんじゅトークサロン』が始まるよ!

 僕がコーヒーを淹れている『BookCafeえんじゅ』で、この4月からほぼ毎月の第四土曜日午後に「トークサロン」を開催することになりました。八郷周辺には魅力的な生き方をされている方やさまざまな分野で活躍されている方がたくさんおられます。古民家の座敷に彼らを招いて、じっくりと話を聞いたり、おしゃべりをしたいと考えております。美味しいコーヒーとお菓子も用意しています。ぜひご参加ください。参加申し込みは、次の「えんじゅ」のアドレスまで、メールをお願いします。
   bookcafe.enju@gmail.com

 令和2年度のスケジュールは、下記の通りです。






2020年2月5日

月待塔



 よく、田舎道を散歩していて、路傍で「十三夜供養」とか「二十三夜供養」とか彫られた古びた板碑を見かける。上の写真も八郷の細谷地区で写したものだ。中央の大きな板碑には安政四年とあるから、今から約160年前に建てられたものだとわかる。その頃は、ペリーの黒船が来航したり大地震があったりして、世の中が騒然としていたことだろう。

 ところで、この「十三夜」とか「二十三夜」とは、特定の月齢(旧暦)の夜に、「講中」と呼ばれる集落の仲間が集まり、共に食事をして、お経を読んだり念仏を唱えて、月を拝み、安産を祈願したり悪霊を追い払う信仰行事である。いわゆる「月待講」である。板碑は、この「月待講」による供養の記念として造立したものである。
 この習慣は、現在でも「十五夜」さまとして残っている。特に東日本に多い「十三夜講」は如意輪観音を本尊としており、女性だけの講である。「子安講」とも言われる通り、主に安産を祈願した。当時はお産に際して母子が亡くなることが普通にあった。当時の女性にとって、無事に子供を産んで元気に育てることは切実な願いだったのだろう。お産に関係しているせいか、比較的若い女性で構成されたとも言われる。十三夜は、二十三夜に比べて月の出るのも早い。さっさと拝んで家に帰れということか(笑)。

 「二十三夜講」は勢至菩薩を本尊として、全国的に分布している。ここでは、家庭を牛耳っている中年主婦やおばあちゃんたちが主体である。大口を開けて新しく嫁いできた嫁の噂や村人の悪口に花を咲かせたことだろう。そうして、日頃の厳しい暮らしの憂さを晴らしたのである。しかし、赤坂憲雄か宮本常一だか忘れたが、この集まりは村落共同体を円滑に運営する上で重要な役割を果たしていたという。お母ちゃんたちの話題は、噂や悪口ばかりではなく、問題行動をする主人の家の奥さんに是制すようにそれとなく勧告したり、嫁の教育について話し合ったそうだ。いわば、村の影の内閣として機能したそうである。今も昔も、女性の集まりは怖い(笑)。

 確かに撮影した板碑は、四方が開けた丘の上に立っていた。月夜の晩に、村の女性たちが、この塔を囲んで供物を捧げ念仏を唱えて、月の出るのを待っているのを想像すると、たまらなく美しく幻想的である。