2009年9月4日

カツラの木


 これからしばらくの間、山小屋は甘い匂いに包まれる。庭のあちこちに植えてあるカツラの木の黄葉と落葉が始まったのだ。この木の落葉は、強い香りを放ち、それが風に乗ってあたりに漂う。空気が沈んでいるような夜などは、斜面下の道路を歩いていてもわかる。この香りを、ある人は、醤油の香りだいい、別な人はカラメルだと言う。チョコレートだという若い人もいた。この葉を乾燥させて抹香を作るから、東北地方では、マッコノキとかオコーノキなどと呼ばれる。因に、僕は、べっこう飴の匂いだと思うから、カラメル派である
 この木が大好きな人は多い。まず、新緑の赤みを帯びた葉が美しいし、成葉もハート形でやや青みを帯びた優しい緑色をしていて、葉柄の赤色との対比が美しい。すらりと伸びた小枝も清々しい上に、褐色の幹肌も捨てたものではない。秋の黄葉も美しいし、おまけに落葉まで甘く香るのだから、ファンが多いのもうなづける。そうだ! 花を忘れるところだった。花は、花弁も顎もなく、赤いおしべ(雄株)かめしべ(雌株)が付いているだけで形が面白いし、果実などは、極小さなバナナみたいで実に可愛い。虫もあまり付かない。しかも日本固有種である。こんな魅力的な木であるが、難点が一つある。それは生長が早く、すぐ大木になる事である。このブログを読んで、さっそく植えたところ、数年後にすっかり庭を占領されたとしても、当方は一切関知しません。

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