2011年6月26日

魔のさまよう夜

一昨日の夜は、異様に蒸し暑く寝苦しかった。12時頃だろうか、浅い眠りにうとうとしていると、ベッドの脇を黒い影が通り過ぎたような気配で目が覚めた。猫のピーかなと思ったが、一応確かめるために足をのばしたら、いつものようにピーは僕の足下に寝ていた。気のせいだと思って、また眠りについた。つぎに目が覚めたのは、冷蔵庫の近くでパッタン、パッタンと音がしたからだ。電灯を点したら午前2時半。想像した通り、小屋に紛れ込んだアカガエルが跳ねていた。その時である。ベッドの脇の床がぬらぬらする。見ると赤い血だ。ピーの姿は無い。不安になったが、きっとピーが何か獲物を狩って、ここまで運んだのだろうと無理に思い込んだ。でも、また、眠ろうとしても目が冴えて眠れない。そのまま何度も寝返りを打ちながらピーが戻るのを待っていた。だが、いつになって帰ってこない。待ちきれず、ますます不安がつのってくるので、名前を呼びながら薄明かりの庭と小屋下の道を探した。どうしても、見つからない。諦めて小屋に戻ったその時である。庭のホウノキの根元で、反対を向いたまま、うずくまっているピーを見つけた。名前を呼びながら、急いで近づいても、こちらを向かずにじっとしている。その訳が分かった。顔の右半分がつぶれて、毛が黒い血とゴミでこびりついている。眼窩から、透明な体液が絶え間なく流れ出している。すぐに抱き上げた。ぐったりとしているが、身体は無事のようだ。僕が判ったのか、尻尾の先だけを小さく揺らした。この揺らし方は、あいつが嬉しいときする仕草だ。「大丈夫かピー! 何があったんだ。」 
どうしても抜けられない用事があったので、病院に連れて行ったのは、その日の夕方になった。そのまま入院して詳しく調べてもらったら、やはり、右眼の眼球がつぶれていて、もう元には戻らないそうだ。両方のつぶらな大きな眼で見つめられる事は、もう二度と無いのかと思うと悲しくてたまらない。医者が言うには、内蔵も傷ついているかもしれないから、この一週間は要注意だそうだ。

先ほど、病院から小屋に戻ってきた。安心したのか、今は僕のベッドの上でいつものように眠っている。

おとといの晩は、何か得体の知れない魔物がさまよって、ピーはそれと格闘したのかもしれない。

2 件のコメント:

壱 さんのコメント...

(ノДT)゜。信じられない…ッ!!!!!!!
ピーちゃんは何と戦ったのでしょうか…
ramunosさんも どうか気をつけてください!

RAMUNOS さんのコメント...

大丈夫、ピーが守ってくれる。