2013年11月14日

ふくれみかんのジェラート

 
先週のこと、湯袋峠の入口で農家のおばさんから、ふくれみかんをいただいたので、真壁の橋本珈琲へ持ち込んだ。少し前に、マネージャーの山浦さんが、ふくれみかんで何かデザートを作ってみたいと言っていたからだ。彼女が淹れたコーヒーが美味いのは当然だが、実はケーキ作りの力量もなかなかのものだということを知っている。彼女がどう料理するかが楽しみだ。大いに期待が持てる。それというのも、このふくれみかんを使ったお菓子は、これまでに、多くの人が挑戦しているが、なかなか成功していないからだ。あの独特な香りが飛んでしまって、苦みと酸味だけになってしまったりと難しいのだ。唯一成功している言えるのは、昔から伝わる七味唐辛子くらいのものだ。

もう、出来た上がった頃だろうかと昨日訪れたら、何とカウンターの上に「ふくれみかんのジェラート」とメニューが置いてあるではないか。早速、試食をさせてもらって驚いた! 完成度がかなり高い。これまでで一番かも知れない。ちゃんと爽やかな香りが残っていて、甘みと苦みと酸味が絶妙なバランスで調和している。色も優しい。季節限定のメニューだそうだが、夏の「エスプレッソのかき氷」に続いて、「大人のための」秋のデザートの誕生である。

 ふくれみかんは、謎とロマンに満ちた果実である。万葉集巻二十に「橘の下吹く風の香ぐわしき、筑波の山を恋ひずあらめかも」と歌われている「橘」とは、このふくれみかんのことか、それとも古代の筑波地方では、柑橘類を総称して「橘」と称していたのか、研究者の間でも諸説ある。更に、倭武命と弟橘媛命の東征、冬でも青々と枯れることのない常世の国である「常陸」との関連、嬥歌の風習とのつながりなどなど、・・・ 。いずれにせよ、ふくれみかんは遠い遠い歴史を秘めている謎の古みかんであることは間違いない。そんなことに思いをはせながら「ふくれみかんのジェラート」を味わってみたら、味に一層の深みが加わることだろう。


1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

おいしそうですね!ふくれみかんの香り大好きです。カットしてジュースにしてアイスクリームやヨーグルトにかけると、香りと味がとても良いと思います。ジェラート是非食べてみたいです。fj