2016年9月15日

生飯(サバ)の作法




 曹洞宗などの坐禅道場で行われる「生飯(サバ)の作法」を真似て、庭の石の上に、食べ物を供えることがある。僕は、この作法の精神に深く共感して、格好良いと思うからだ。
 禅僧は、食事の際に、「汝等鬼神衆 我今施汝供 此食遍十方 一切鬼神共」と偈(短い詩)を唱えながら自分の椀からご飯つぶを取り分け、それを配膳係が集めて、境内の片隅にある「生飯台(サバダイ)」の上に供える。偈の意味は、おおよそ「鬼神たちよ、私は今あなた方に食事を供養する。この食事が、あまねくすべての尊きいのちたちに届かんことを!」というものである。この際の「鬼神」とは、目に見えぬ鬼神衆、有縁無縁の諸霊、そしてこの世の動物や小鳥、昆虫や蟻などの目に見える生きものたちのことだ。まあ、簡単言えば、「この世で共に生活している(=繋がっている=縁起)目に見えない存在から目に見える命(いのち)のすべての者よ! これも縁だから一緒に飯を食おうじゃないか!」ということだ。

 夜中に目が覚めて、今頃、僕が供えた生飯台には、一体何が来ているかを想像するのは楽しい。コオロギかキリギリスか、それとも恐ろしい姿をした鬼神たちか、亡霊か(笑)?
朝起きて、食べた跡を見つけるとなおさらである。




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