2021年8月11日

仏の世界を巡って

 もうすぐお盆だからという訳では無いが、今日出会った仏の世界を紹介する。


まずは、栃木と茨城県の境に位置する桧山にある「薬師堂」である。静かな山村にひっそりと建っている。朱塗りの円柱に、欄間には風神雷神の彫刻が施され、天井は龍や鳥獣花などが描かれている。とても美しく雄大荘厳である。室町時代の建築様式だそうだ。訪れる人も無く、しばらくの間見惚れていた。



 次は、友部から水戸の木葉下に向かう県道112号だ。僕は、この朝房山の南山麓を巡る道は好きな道の一つである。そのほぼ中間の林の中に気になる場所を見つけた。地図には「天狗塚」とある。車から降りて近づいたら、クヌギの大木の根元に真新しい塔婆と花が添えられていた。周りはちゃんと草刈りがされていて、今でも地元民の信仰が生きているのがわかった。帰ってから調べたら、幕末の頃、天狗党の隊員が戦で命を落とし、その首を村民がこの地に葬ったとあった。「天狗」でも、民話の天狗では無い。




三つ目は、珍しい「馬頭観音像」である。那珂川の右岸を走っていて見つけた。馬頭観音は文字だけのものが多いが、この像は、二基ともに舟形後背を持つ浮き彫りの立像で、一面六臂、頭上に馬頭いただき怒りの相をしている。他の臂は合掌したり法輪や武器を持っている。丁寧な造りである。説明板によると、元々は国境の境松峠にあったものだそうだ。この峠を通る古道は、日立の海から内陸の栃木県茂木方面に塩や海産物を運ぶ「塩の道」である。境松峠は、その道一番の難所であり、道中の安全を祈願して建てられたものだろう。茨城には、こうした海と内陸を結ぶ「塩の道」が多くある。



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