2009年7月6日

何かが住み着いた

 先週の後半から、最近出版された梨木香歩の「f植物園の巣穴」(朝日新聞出版2009.6)を読んでいる。そのせいか、梨木ワールドに落ちたようなことが起き始めた。

 自宅は、千葉県にあるのだが、それが建ててから約30年にもなろうとするボロ家で、狭い敷地にはカキやヒメシャラ、ドウダンツツジ、ユッカラン、それにアジサイ、カクレミノなどが、うっそうと茂っている。しかも、隣は夏草が繁茂する草原とイヌシデやエゴなどの雑木林である。そんな環境だからだろうか、毎年、今頃の蒸し暑いじめじめした夜には、明かりに集まる小昆虫を狙って居間のガラス窓にヤモリが現れる。時には、卵をお腹に抱えた大きな雌だったり、粘土細工のような子供のヤモリだったりする。北関東で育った僕と家内はヤモリが珍しかったし、その姿が可愛いので、いつの間にかヤモリの出現を歓迎するようになった。それに「家守」だから大切にしているといってもいい。なかなか姿を見せない年などは、近所の猫に襲われたのだろうかとか、何かこの家が嫌いになることがあったのだろうかと気をもんでだりした。
 ところが、今年は少し様子が違う。例年のようにヤモリも目撃したが、それだけではなさそうだ。先週の木曜日の夜、一人で留守番しながら、梨木香歩の小説を読んでいたら、居間の天井の隅で、ガサゴソとしきりに音がするのだ。ヤモリは音を立てるはずが無い。ネズミでも住み着いたかと思って、音のするあたりを叩いたらぴたりと止んだ。ところが、翌日の金曜日には、音はさらに大きくなり、天井裏を傍若無人に走り回るまでになった。家内は、何か大きくて重いものを引きずる音まで聞こえたから、絶対に、ネズミでは無いと言い張る。いったい、何が住み着いたのだろうか?(これだから、古い家は楽しい)

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