2010年2月4日

やかんの音

 今日は立春だというのに、この冬一番の冷え込みだという。夕方、事務所から原付バイクで小屋に戻ったが、道路のあちこちが凍っていたので緊張の連続だった。昨夜、降った雪が、日陰のところは溶けないで残っている。寒い!冷たい!ハンドルを握る手が固まってしる。ガタガタと震えが止まらない。ようやく山小屋に着いた。さっそく、暗闇の中で焚きつけのスギの落葉と小枝を集めて、物置の軒下からは今夜分の薪を運んだ。急いでストーブに火を付けた。ピーのやつ、お腹が空いたとしきりにねだる。
 しばらくすると、ストーブが赤々と燃え出した。火は太い薪にも燃え移った。暖かさが部屋に広がってきた。次第に、サーモメーターの針が上がっていく。もう大丈夫だ。ホッとした空気が部屋に満ちる。さて、ピーにご飯でも作ってやるとするか。今夜は、留守にしたお詫びに高級な缶詰をお土産に買ってきたのだ。
 ストーブの上に乗せたやかんが沸騰したようだ。先ほどからチンチン、チッチッと鳴っている。何とこの音は、心から休まる音だろう!深い安心と満足の気持ちが心を満たす。この音は、はるか遠い昔にも聞いたような気がする。そうだ!子どもの頃、田舎の火鉢の鉄瓶が同じ音を出していた。あるいは、もっと、もっと昔、ぼくの生まれるず~っと以前、暗い森の中で今日捕まえた獲物を前にして、焚き火をしながら聞いていたような気がする。
 ピーのやつ、いつの間にか食事が済んだらしく、ストーブの前で丸くなって寝ている。

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