2010年2月7日

旧家の裏庭

 散歩の途中で、美大生による竹を素材としたイベントを見て、会場近くの農家の庭先で行われた篠笛の演奏を聴いた。その後、撮影に来られた方と一緒にKさんのお宅を訪問した。イベント会場のすぐ近くなのだ。このお宅はたいへんな旧家で、日本の美しい茅葺民家としてたびたび写真集で紹介されている。当主のKさんも、有名な林業家で、その持ち山は今時では珍しく手入れが行き届いており、素人のぼくが見てもすぐわかるほどだ。Kさん宅を訪れたのは、離れの前にある白梅の古木が咲いているかもしれないと期待したからである。期待した通り、咲き始めたばかりの梅と茅葺屋根に穏やかな冬の日差しが注いでいて、心から落ち着ける美しい庭園となっていた。
 Kさんは、最近、大怪我をして退院したばかりだという。しかし、話題が樹木や植物になると、目が輝いて、少しもそんなことを感じさせない。この人は心底から森林が好きなのだと感じた。話題が、アリドオシに及んだとき、屋敷内にも生えていると裏庭に案内された。ぼくのアリドオシは、枯れて無くなってしまったことを先日のブログで書いたが、お金と同じで有るところには有るものである。氏神さまの周りにアリドオシとセンリョウ、マンリョウ、そしてヒャクリョウ(カラタチバナ)の群落が広がっているのには驚いた。これほどの群落を見るのは始めてである。後ろの常緑樹のモチの木などが寒い北風から保護しているからだろうか。この他にも、この屋敷内には、かつて筑波山周辺に生育していたが、今では姿を消した植物がひっそりと生育している。まさに、生きた博物館みたいなお宅である。Kさんも、Kさんのご家族も、お屋敷や植物たちも、これからもずうっといつまでもお元気でありますように。

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