2010年4月8日

ゴミ出しから桜を尋ねる旅へ



 今年は、エドヒガン系の枝垂桜も、ソメイヨシノも、ヤマザクラも同時に花が咲いている。溜まった不燃ゴミを焼却場に運んだ帰り、あまりに気持ち良い陽気なので筑波山の東側を回ろうと思いついた。途中、南面の小野に差し掛かったとき向上庵の桜を思い出した。寺は常緑樹が鬱蒼と茂る谷間の奥にあって、長い年月に晒されたようなお堂と苔生した庭や石仏が実に美しい。京都や奈良の尼寺の雰囲気である。シダレザクラの古木は、斜面の上にすくっと立って、優しいお顔の仏様を前に、深い緑の木々を背景にして、静かに咲かせていた。
 さらに、風返峠を越えて八郷にもどる途中、ふと杉線香を頼まれていたことを思い出し、湯袋峠にある「駒村清明堂」に寄ることにした。そういえば、ここにも大きなヤマザクラがあるはずだ。線香の注文もしないままで、母屋の裏庭にある桜を見にいった。形のよいヤマザクラの巨木が、脇を水が流れる大きな石の間から生えている。赤みがかった花弁が、赤茶色の新葉とあいまって華やかな印象を受ける。今でも現役で仕事をしている本物の水車を見せてもらったり、この家で生まれ育った婦人から昔の八郷の生活や風景をいろいろ聞いた。
 はじめは、ゴミ出しから始まった散策も、帰りは桜を尋ねる優雅な旅になった。めでたし、めでたし。(写真をクリックすると大きくなります)

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