2010年6月2日

エゴが花盛り

薄ら寒い天候が続いているうちに、6月に入ってしまった。昨日の夕暮れ時、部屋を掃除していたら、ドアのところで、野太い声がする。同じ集落のSさんが、ホタルを見に行こうと誘いのきたのだ。そろそろゲンジボタルが出る時期なのだ。毎年見ている近くの小川に行ったが、ほんの数匹が土手で光っているだけであった。夜風が肌寒い。やはり、今年は気候が変だ。

ピーのやつ、僕がホタルを見にっている間に、小屋から抜け出して、いつになっても帰ってこない。夜更けの森に向かって何度も大声で呼んだが、いっこうに姿を見せない。とうとう、先に寝ることにした。こんなことは初めてだ。事故に会ったのだろうかなどと気になって熟睡できない。小屋の外で物音が聞こえるたびに目が覚めてしまう。
明け方、空が明るくなり始めた頃、思い切ってベッドから抜け出して小屋の入口まで降りていった。「 イタ! 見つけた!」  隣の杉林の中から飛び出してきて懐かしそうに僕の足元に擦り寄ってきた。「一晩中、何処で何していたのだろうか?」
安心して、ピーを抱き上げ、小屋へ戻ろうとしたら、あたりに甘い香りが漂っている。頭上を見上げたら、エゴノキが花盛りであった。足元にも、敷き詰めたように、白い花びらが落ちている。もう、この時間でも、蜂たちは働いている。通奏低音のような羽音があたりに響いていた。

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