2011年9月6日

テン

先月の半ば、ギラギラと真夏の陽が照りつける日、笠間の西側を車で走っていた。すると、道路上に動物の死骸が横たわっているのを見つけた。よく田舎道ではあることだ。通り過ぎようとしたとき、胸の鮮やかな黄金色が目に飛び込んで来た。これはイタチや狸やハクビシンではない。車を止めて撮影した。

昨夜、野生動物に詳しいFさんが来たので見てもらったら、夏毛のテンだという。テンは、深い山か東北地方に生息しているものと思っていたから、こんな所で出会うとは驚いた。テンは、狐狸よりも、はるかに強力な神通力を持っていて、古くから人々に畏れられていた。道の前を横切ると悪い事が起きるとも、殺すと自宅が火事になるとも言われている。こんな、多くのおどろおどろしい伝承を持つテンが、現代でも街近くに生息しているのである。まるで、現代人の心の奥深くにも、古来からの「畏れ」の気持ちが潜んでいるようかのように。

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