2012年10月2日

彼岸花

今年は咲くのが遅いと思っていたヒガンバナが、いま花盛りである。『筑波山の自然展』の帰り、筑波山神社の駐車場の脇にたくさん咲いているのを見つけた。この花は、よく陽の当たる畦や土手にも似合うが、お寺のスダジイの少し薄暗い木陰などで、どことなく妖しい雰囲気を周囲に漂わせているのも決して悪くない。この植物は、方言が関東以西を中心に千個以上もあることからわかるように、昔から人との結びつきが強く、分布の拡大は人の手によるものと言われている。毒性を利用して、田んぼの畦やお墓を野生動物が荒らすのを防いだり、飢饉の際には鱗茎を水にさらして澱粉を取り食用としたりと何かと人の役に立った植物なのだ。
 そんな、すこし重苦しい過去の影を忘れて、純粋に花そのものを凝視すると、その鮮やかな緋色と造形美にハッとする。ぜひ写真を拡大してご覧あれ。



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