流山の自宅を朝早く出て八郷に戻った。時間はたっぷりある。そこで利根川を下って、大きく東に向かうことにした。途中、千葉県神崎町まで来たら、案内板に、ここには国指定天然記念物になっている楠の巨木があるとあった。僕は、こういうのを見ると寄らない訳にはいかない。
利根川近くに、鬱蒼とした森(神崎の森)の丘がある。その中心に「神崎神社」が祀られている。この神社はそうとう古い。創建は白鳳二年(652年)だそうだ。江戸時代には御朱印二十石が寄せられていたという。この森も天然記念物に指定されているが、すごいのは社殿脇のクスノキである。主幹は明治四十年に火災で焼けてしまい下部だけが残っているが、その後、周囲にひこばえが生えて、現在では大木に育っている。この木のことは、『利根川図志』や『牧野富太郎科学随筆集』でも述べられている。
どうして、この木を「ナンジャモンジャの木」と呼ぶのかと思ったら、延宝二年に水戸光圀が当神社を参詣した時に、この木を見て「この木は何というもんじゃろうか」と自問して感嘆したことによるらしい。
おそらく、昔、利根川の水運が盛んだった頃、航行する船にとって、この丘の上に屹立する巨木は良い目印になったのにちがいない。
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