2009年6月8日

子猫

 山小屋に一人でいると、動きのあるものについ視線が集中する。先日も、草の陰にちらちら動くものを見つけた。なんだろうと目を凝らしてみると、可愛い子猫だった。僕の姿に気がつくと、大急ぎで逃げていった。その後、林を隔てた隣家の近くで見かけたからこの家の猫なのだろう。ときどき、僕の小屋にも遊びに来てほしいので、残り物の魚などをデッキに置いてみたものの、いまのところ成功していない。
 ところで、最近出版された平出隆著「猫の客」(河出文庫2009年5月)を先ほど読み終えた。この小説では、庭を通って訪れてくる隣家の猫との交情と別れが、実に緻密で繊細な文章で描かれている。そして読み終わっても深い余韻が続く。静寂さが包む古い家と庭、小さな生きものの命とその死、そして静かに暮らす若い夫婦と家主の老夫婦・・・・・・。つい引き込まれてページが進んでしまう。それが惜しいので、同じところを何度も読み返す。  僕は、こういう小説って好きだな~。

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