2020年1月15日

ならせ餅

 

 今日は小正月。茨城県の各地では、五穀豊穣と無病息災を願って、「ならせ餅」を作って玄関や竃(台所)に飾る。真壁の五所駒瀧神社の社務所入り口にも飾ってあった。昨夜の雨で苔や木々が濡れて緑が鮮やかだ。「ならせ餅」の赤と白色が映える。

 実は、この「ならせ餅」という呼び名は、茨城県の方言である。しかし、木の枝などにお餅を飾る風習は、全国各地にあって呼び名も異なる。長野県などの養蚕の盛んなところでは、餅の形をひょうたん型にして繭玉を模している。呼び方も「餅花」や「まゆ玉」など様々である。使う木の種類も様々で、茨城ではナラやクヌギの木が多いが、地方によってはツバキやシラカシ、ツゲなどの常緑樹やヌルデ、ミズキ、モミジなどを使うところもある。長野などは、シダレ柳に小さな白い餅を付けて、豊かに実った稲穂が自重で垂れ下がっているのを表現している。元々この風習は、農作物の豊作を願う予祝行事であったが、しだいに都市が発達して貨幣経済が盛んになると、大阪の「えべっさん」のように小判や大黒様のお飾りを付けるようになった。

 僕はこの伝統行事が大好きだ。先日もつくば市の山麓自然学校で、参加した家族たちとお餅をついて「ならせ餅」を作った。大好評で子供も大人も夢中になった。「花咲爺さん」のように枯れ木に美しい花を咲かせる楽しさに加えて、後日、「あられ」にして食べる楽しみもある。こうした行事は、これからもずっと続いて欲しい。







0 件のコメント: