2019年6月5日

宝篋山のこと




 今日の樹木調査は宝篋山だった。最近の宝篋山と言えば、中高年から初心者まで大変な人気の山で、今日も、平日だというのに大勢の登山者と出会った。しかし、歴史的な面から眺めると、ほぼ全山が仏教聖地であり戦乱の遺跡である。
 鎌倉時代の中期に小田氏の擁護のもとに、真言律宗の僧侶忍性は山麓の三村山極楽寺を拠点にして布教活動や土木工事、非人や癩者、貧者などの弱者救済を行った。今でも山中のいたる所に、石仏や五輪塔などが点在している。また、南北朝期には、南朝方であった小田氏は騒乱に巻き込まれ、その後の戦国時代には佐竹氏や上杉氏との戦場となり、そして破れた。
 脇に石仏が祀ってあるこの山道を、どれほどの人が血を流して死んでいったのだろうか?どれほどの人が世の平和を願いながら通ったのだろうかと思いながら、歩を進めた。

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